長男が学校の授業の一つ、ELAの様子を教えてくれました。
猫を多頭飼いしている家へ、何処かの家が餌付けしていると思われる黒猫がやって来ます。
余韻を残して話は終わります。
ELAとはEnglish Language Art。
英語の芸術です。
いわゆる国語の様なものですが、授業内容は日本の国語とは全く違いました。
アメリカンスクールのELAでは考察するのだそうです。
日本の国語では、基本的に文章を理解しているかどうかに重点を置き、考察する作業が無い為、我々日本人にはイマイチピンと来ません。
では、具体的にどうやるのか。
長男が「今やっている本の考察が楽しい」のだと、やっている内容を教えてくれました。
先ず、現在長男のG10で題材として取り上げられている本は、Neil GaimanのTHE Priceというタイトルの本だそうです。
「結構難しい言葉が使ってあるから、ママがこの本を読めるとは思わないけど」
そんな前置きをされながらも、長男が日本語で語ってくれたあらすじはこうでした。
その家の主人は、猫に餌をやって、家で寝床を提供します。
しかし、その猫は次の日の朝、体に怪我をしています。
それから毎晩、その黒猫は身体に深い傷を負うのです。
目を繰り出されたり、身体を深く傷つけられたり。
そこで家の主人は、猫を回復させる為に地下で保護する事にしました。
猫を地下に匿ってからは、猫には何も起きません。
しかし、その日から今度は家の人間に不幸が次々と襲いかかります。
赤ん坊がお風呂で溺れそうになったり、仕事がダメになったり、事故に遭ったり…。
もしかしたら猫に何かあるのかも…。
そう思った主人は、猫を地下から出して、夜に何があるのかその黒猫を観察することにしました。
すると、黒猫の前には悪魔としか形容出来ない異形の者が現れます。
そしてそれは、猫を誘うのです。
黒猫は一貫してその誘いに乗りません。
誘いに乗らない黒猫に、腹いせとばかりに悪魔は攻撃して深い傷を負わせて帰って行くのです。
毎晩、悪魔は姿を変えて現れ、この猫は、後何回代償を支払えるのか。
余韻を残して話は終わります。
このpriceは、値段という意味もありますが、代償と言う意味もあるのだとか。
…うん。私が読んでも英語の言葉に隠された意味が分からないから、永遠に読み解けないよね…。
さて、ここからELAの考察が始まります。
悪魔はこの猫が連れて来たのか、それともこの家の家族に帰属するのか。
猫が代償を支払い終わったら(死んだら)、悪魔はこの後どうなるのか。
本の内容は当然理解した上で、更に文章の内容に沿って疑問を論理的に解明して行く作業がELAなのだそうです。
正直、私は日本の教科で国語が大嫌いでした。
と言うのも、質問が納得出来なかったからです。
例えば、「主人公はどんな気持ちでこのセリフを言いましたか?」
これは文脈に感情が書いてあるから理解できます。
しかし、日本の国語の問題で1番厄介だったのは
「著者の気持ち(意図)を答えよ」系の質問。
「そんなの、著者の気持ちなんだから、著者に聞けよ〜!!」
もしかしたら、この文章を書きながらトイレを我慢していたら。
「この文章を終わらせてからトイレに行こう。うっっ、漏れそう…」
でしょうし、
The priceの様に余韻を持たせて、後は読者が想像して下さい系の話なら、
「特に終わりは決めてない」
でしょうし。
それを最もらしく、筆者の気持ちを理解した気になって答案を書く事自体が気持ち悪くて出来ませんでした。
大人に対する反骨精神でしょうか。
兎に角、気持ちは人それぞれ自由なのに、それに答えが用意されている事が気持ち悪くて仕方がないのです。
長男も私の思考に近くて、公文の問題に筆者の気持ちを答えよ系の問題があると憤っていました。
大体皆さんの想像通りとは思いますが、私は理系脳。
数学や理科は答えがハッキリしているので得意でした。
理系脳は理詰めで物を考えますから、可能性を一つずつ検証していくELA的考察授業は
「なんて面白そうなの!!?私が学生の頃、こんな授業があったら、絶対国語が好きになってる!!」
そう思わずには居られません。
逆に、日本の国語が得意な文系脳の方には、屁理屈ばかりで辛い授業になるのかも知れません。
日本の国語は今後、理系脳用と文系脳用に分けてやれば国語嫌いが無くなるのではないかと思ったアメリカンスクールのELA授業内容でした。